職場をエンパワーするために必要な5つのこと 会社や組織をエンパワーするためには
By 岩田洋治
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人材育成・組織開発
会社や組織全体のエンパワーメントに取り組んでいくときにも、大切となるのは一人ひとりのエンパワーメントです。
ビジネス現場といえども例外ではなく、一人ひとりが自分の内面を意識していく力をつけることから始めるのです。
エネルギーや元型など、今まで仕事の中でおおよそ意識してこなかったことを意識すること。
なぜなら、そこにこそ会社や組織をエンパワーしていく鍵があるからです。
個人の内面という、最も大切な部分にいままでアプローチしてこなかったのは、そこが誰にとってもよくわからない領域だったからです。
夜中に鍵を探している人の話を聞かれたことはありますか?
暗がりの中、街灯の下の草むらで、鍵を探している人がいました。
通りがかった人が気にかけて、「探し物ですか?」と声をかけます。
──何を落とされたのですか?
「鍵です」
「どの辺で落とされたのですか?」
するとその人は、10mくらい先を指差します。
「え、じゃあどうしてこんなところを探しているのですか?」
「あそこは暗いのでよくわからないから、街灯のある明るい場所で探しているのです」
会社や組織のエンパワーメントを実現する5つのキーワード
1. 自分自身の影を受け止めること
仕事をしていると様々な出来事や人との関わりで、エネルギーを漏らすことが多くあります。
その時、「あのためにエネルギーが漏れた」とか、「あの人がむちゃくちゃ影を出してます」とか、私たちは外側の事象だけに目を奪われ、それをなんとかしようとします。
そうではなくて、内側の事象にも目を向けること。
つまり、その時自分の中に立ち上がってくる自分自身の影と向かい合い、それを受け止めていくことです。
このスタミナを身につけていくことで、成長のスピードが上がります。
【参考コラム】 元型
2. 課題設定能力
仕事上様々な「問題」と日々向かい合うことになりますが、いったい本当の「課題」は何なのかを掘り下げる力、これが課題設定能力です。
現場ではどうしても問題解決能力が優先されますが、問題の本質が捉えられていないと、表層的な対処や、悪者探しに終始してしまいます。
そして、形を変えてまた同じ問題が出てきます。
問題解決ばかりに躍起になっていると、結局のところコスト高になります。
むしろ、課題はなんなのか。問われていることは何か。
それを深めることです。
結局のところ、自分が関わっていない課題などないということです。
問題は外側で起こっているように見えて、自分もなんらかの形でそこに関わっている。
だからこそ、まず自分が動いていこうとなるのです。
3. 共創
色を混ぜていくときに、それが「絵の具」か「光」かで結果が変わってきます。
絵の具の場合は、いろんな色を混ぜれば混ぜるほど、どんどん暗くなって、最後は真っ黒になってしまいます。
ところが、光の場合はいろんな色を混ぜると、どんどん明るくなって、最後は白色になります。
色んな個性が集まっているチームも、これと全く同じです。
個性というよりはクセのある人ばかりが集まると、何を決めるときにも時間がかかりますし、
ましてやチームでエネルギーを生み出し、クリエイティブに物事を進めることは困難です。
クセとはなんでしょうか。結局のところ、それは個人の中に潜む影です。
それが意識されず野放しになっているので、周りとつながりが阻害され、共創することができなくなるのです。
対立ではなく多様。
妥協ではなく共創。
それが可能となるのは、チームメンバー一人ひとりが自らの影を受け止める力を持ち、
自らのエネルギーに責任を持つことができている時です。
4. リーダーシップ
リーダーシップに関する私たちの認識は、ここに来て大きく変わろうとしています。
今までそれは、力強く皆を引っ張っていく力だと考えられてきました。
どれだけ多くの人がついてくるのかが、リーダーの力量だとみられていたのです。
しかし、このような関係は固定化したリーダー役とフォロワー役を生み、決してメンバー全員が持てる力を最大限に発揮している姿にならないのです。
リーダーシップは、リーダーを作り出します。ついてくる人を作り出すのではありません。
一人ひとりをエンパワーして、チーム全体で結果を作っていくのです。
リーダーシップとは『自分の強みを生きて人をエンパワーすること』であり、実は全ての人にとって大切な事です。
限られた一部の人だけが持っている特別な能力ではないのです。
5. エンパワーしたビジョン
組織のビジョンを試す問いは、それが普遍的な価値──つまりテロスにつながっているかどうかです。
【参考コラム】テロス
本物のビジョンは人をエンパワーし、またエンパワーした人を惹きつけます。
そのような仕事は人に誇りを与え、創造性を刺激し、また、困難な時にも、何としても乗り越えようとの力が生まれてきます。
方向性を見失ったときに、いつでもそこに立ち返ることができ、そこからまたスタートしていけるビジョン。本当に何が大切なことか、育むべき価値を明確にしてくれるビジョン。
エンパワーした組織の中心には、必ずエンパワーしたビジョンが存在しています。