細胞の時間 「なりふりかまわず シリーズ2

「記憶は脳の奥に仕舞われていた古いビデオテープではなく、たった今、瞬間的に作り直されるものである。それは再びすぐに淡雪のごとく消えてゆきはするが、ありありとした感触の粒だちは長い年月の風化を飛び越えてよみがえり、ひととき心に火を灯(とも)す。」
                 動的平衡 福岡伸一
 
 
40数年ぶりのインフルエンザを期にたった今、瞬間的に、鮮烈にたちあがってきた記憶があります。それはものごとをやり抜き、それが自分の思いのまま自由自在に使えて、なおかつ人をエンパワーする過程で、何らかの人のお役に立つにまで至る(手についた職のスキル・体で習得された専門技術などなど)には、「なりふりかまわず」の連続した1万時間が不可欠的に必要だということです。好き嫌いや趣味のレベルではこの「なりふりかまわず」の持続は極めて難しい。最初の100時間(約三日間。つまり三日坊主)で90%が止めてしまいます。残りの10%は次の100時間、つまり第2次三日坊主で止めてしまう。なんと残りの1%か1.2%が、世間や他人が何と言おうと、自分がほんとうにやりたかったこと、やりたいことのゾーンに集中し、なりふりかまわぬ1万時間の末に、自他共に驚くような価値のある成果を達成するのです。
 
この二人の女性、故エディット・ピアフさんと現役の大竹しのぶさんには、生得的な才能もさることながら、このなりふりかまわぬ一心不乱の努力、百戦錬磨の現場経験、世間的な対応において凛とした態度、共通的な狂気じみたエネルギーの炎上があります。それがなぜ、エディット・ピアフさんは47歳で燃え尽きてしまわれ、大竹しのぶさんはばりばり現役で満席の会場をエンパワーしておられるのか。それは「なりふりかまわず」戦略の秘儀。それは明日に。