細胞の時間 「五感の世界」

第1フェーズと第2フェーズは五感が支配する歴史であり、五感物語の構成舞台です。

脳は五感によって支配され、「私達・我々」と「私」が脳を乗っ取り 
、そこから自分以外の世界のコントロールに出で立ちます。しかし、五感の世界では、脳は思考と感情によって支配されたまま、本来の機能は眠ったままですから、感情の共有や思考のうなずきはあっても、はっとするような発見や、突然変異レベルでの変容はありません。

眠っていた脳、主人ヒトの思考と感情に乗っ取られていた脳が目覚めるときがあります。

それはひとの主体である意識の主人が五感を越えて脳に「願いメッセージ」を送り始めるときです。そのとき脳は新しい世界の空気を感じ始め、新しいひらめきの心地よさを覚えはじめ、新しい「教養」の学習と実践が産まれ始めます。

茂木健一郎さんの「脳がめざめる”教養”」は今日読みたい書物です。

グローバリゼーションが世界の隅々で進行するこの令和の時代では、「社会的」なものから「エネルギー的」なものへの変換が、新しい認識や認知の様式に貢献するものである、と言うのが私が見る認知風景です。

今日の折々のことばカールマルクスは、第3フェーズのエンパワーメントをあぐね求める私には、旧式のしめ縄銃みたいで、残念ながらエネルギー的インパクトはありません。

岩田静治

五感の形成はいままでの全世界史の一つの労作である。
 (カール・マルクス)
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 例えば音楽も犬には音楽として聞こえない。人間はその素質を音楽という社会的な「富」へと対象化し、その「富」を通してはじめて個人の音楽の感受性も拓(ひら)かれると、19世紀ドイツの思想家は言う。色をどう識別するか、何をノイズとするか、どんな味や匂いを忌避するかなど、知覚や感覚にも文化に培われたスタイルがある。『経済学・哲学草稿』(城塚登・田中吉六訳)から。

折々のことば 9月13日朝日新聞より