細胞の時間 「おおからな笑い」

ひとは自分が誰であるか、なぜここにいるのか、そしてどこへ行こうとしているのか、などの自分と自分の居場所に関する認識がなしで生きていくのは不可能ではなくとも極めて難しいです。

ひとは自分のアイデンティティーに関して、三つのフェーズを通っていくというのが私達のアルゴリズムです。

先ずは自分のアイデンティティーがあるのは所属している群Tribeであるという認識。第一フェーズです。

それが進化しますと、私のアイデンティティーは私が考える私である、という「私」と「私の思いこみ」を中心にした認識。

それがデ・フォルトし、新しいアイデンティティーが新しいフェーズに促しがかかりますと、認識という頭メンタルな様式から、認知パーセプションというモード様式に変わります。これを第三フェーズと私達は名付けておりますが、要するに、今までの群や個人の認識を越えて、闇や光の認識をも越えて、「私はエネルギーである」、という認知モードに入ります。そうなれば、あらゆるできごとやものごとは、組織や個人的(パーソナル)の掌握から解放され、インパーソナル、トランスパーソナルという、エネルギーの現象であるとして「おおらか」に理解し始めます。これには第三フェーズプロからのトレーニングが必須です。自分一人では不可能といわずとも非常に難しいでしょう。

第三フェーズのアイデンティティー。これが今、個人レベルで、組織レベルで、そして人類社会レベルで焦眉の急として求められている順位最優先のアイデンティティーでしょう。

と分かっていても、私達の多くはこの「覚悟と決意と勇気のいる」、そしてコストのかかる、第三フェーズのアイデンティティーに行こうとしないのはもったいないことです。

精神科医なだいなださんの今日の「折々のことば」と鷲田清一さんのコメントはビンゴ!です。

人はいろいろあるという認識の上に立って、自分が自分である処のものをしっかりとつかまえること
  (なだいなだ)
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 アイデンティティを確立するとはそういうことだと、精神科医は言う。人は拠(よ)り所が不明になると、不安を払おうとして「こころの制服」を着たがると。日本人はすぐ一色になるといわれるが、狂言や狂歌に興じて、自分を笑い、権力者をからかうユーモアもあった。そのおおらかな笑いの歴史を忘れてはならないと。『江戸狂歌』から。

折々のことば 朝日新聞令和元年9月11日より