細胞の時間 「新トランスPEP号発車!」

私の大好きなシャンソン「La Foule」は群衆という邦題で訳されております。群衆とは世間、他者、他人、自分と切り離された人々の群、などのイメージです。

この歌は、何と何と、私が生まれる2年前、1936年頃に南米のペルーで歌われいたワルツです。それをエディット・ピアフが22年後、1958年にパリのオリンピア劇場でフランス語で歌います。たちまち人気チャート上位を獲得し、世界中で歌われる人気度の高いシャンソンになります。

従ってこの歌は御年83歳。時間の経過はありますが、この歌は全く色褪せることなく、未だ高い人気度で世界中の人々に歌われています。私もその内の一人です。

なぜか、です。この歌の人気の秘密とその理由は、その闇の深さにあります。

原語にアクセスしてみますと、先ずは過去の記憶を半ば窒息状態で思い出すところから始まります。そして偶然の出会いが喜びの絶頂にあると思ったら、それが絶望の闇の奈落へまっさかさま。思うように展開しないことの状況を頭打ちと思いこみ、これをもたらした「群衆」を呪い、犠牲者意識で打ちのめされた本人は、怒り、絶望、悲しみの叫びで闇まみれ。何と、この闇の深さを私を含めてどれだけ多くの人々が歌い続けるのか。ここがポイントです。

闇はその不毛さと破壊性にも関わらず、めちゃ人気があります。無意識界の闇は強烈なストレスとなり、心臓の血管を収縮させ、免疫力を減衰させるにもかかわらずです。

出来事はすべてパーソナルにとらえるこのマインド・セットは、制御の効かないように見えるストレスを敵とみなし、これと戦い、疲れ、弱り果て、転落していきます。

記憶。思いこみ。戦い。疲れ。絶望。転落。この図式です。

もう一つの視座があります。それは、そこに如何なる問いかけが訪れているのか、いかなる意味が問われているのか、との視座で一見ストレスと見える状況に対応する視座です。ストレスを敵と見なすどころか、自分を高め、成長させ、新しい可能性をすら示唆してくれている、そしてもっとも重要なことは、自分をもっと健康にしてくれる、大切なメッセージを運んで来てくれた友として受け入れる。パーソナルを越えた領域、トランスパーソナルな視界から同じ状況に向かい合うのです。これはかなりの、いや、尋常でない意欲と覚悟のスタミナが要ります。そして、そこに顕現してきた新しい意味や風景を垣間見ることで、心臓の血管はリラックスして血行をよくし、血管は詰まるどころか広がり、オキシトシンという健康ホルモンが吹き上がり、体調も気分も良くなり、新しい人間関係の
つながりと、新しい歴史のチャプターが立ち上がってきます。

これがトランスPEP、つまり、パーソナルなエンパワメントを越えた新しいPEPの世界です。

スタンフォード大学で教鞭をとる健康心理学のケリー・マクゴニガル博士は、膨大な実験データとそれに要した実験時間の中から、「ストレスを力に変える」仮説をたてました。目から鱗のごちそうです。彼女のTEDでのプレゼンを添付しておきます。行動科学研究所では、これを貴重な資料として、そこから新しい令和の時代に相応しい健康行動心理学設計図を組み立てます。めちゃ楽しみです!

岩田静治
行動科学研究所