細胞の時間 「家庭内暴力」

懐かしい風景です。私が中学生の時の日常風景です。当時の私は、生きている意味が分からず、さりとてそれを真剣に求めようともせず、ただただ自分の未熟さと勇気の欠如と、未来への展望もないまま不安に苛立ち、家庭内で暴れまくっておりました。下記の斎藤環さんのような分析や解説や問題解決へのヒントもないまま、私自身はもちろん、兄弟たちも両親も途方に暮れていた奈落の毎日でした。


斎藤環さんの少々長い朝日新聞への投稿で、この「家庭内暴力」という現象を見事に分析され、その解決策を丁寧に、くわしく記述されております。

ただ、家庭内暴力の先駆け経験者として、当事者としての視座から観ますと、この問題解決の手法とスキルは、その卓越した内容にもかかわらず、2階からの認知風景であり、「家庭内暴力」という現象が意味するものや、それが内包的に孕んでいる可能性や潜在力はこの階では見えてこないということです。それは批判などではなく当たり前の話です。

階を変えて、ペントハウスの方に上がっていきますと、全く思いもかけない風景が見えてきます。それには、相当の勇気と、スタミナとPベクトルのパワーが要りますが、そこから実行されたペントハウスからの視座・風景から見ますと、問題は課題に変容し、新しい「私」と出会う貴重で大切な契機として認知できます。

行程詳細は省きますが、私は「家庭内暴力」を内爆発から、視座を外に向けることで、事件になることを直感的に回避しながら、今の私に至っている行程を見ることができます。

にもかかわらず、斎藤環さんのこの問題可決はお見事です。是非ゆっくり読んで、自分事として味わってみてください。

研究所の草木花々は、今ここの時空を美しく、楽しく、深い情感をもって咲き誇っています !

 ひきこもりに、家庭内の暴力が伴ったら、どうすればいいのか。日々暴力におびえ、眠ることすらできず、追い詰められた家族が、結果的に殺傷事件を起こす悲劇も繰り返されています。しかし、20年以上にわたりひきこもり問題に向き合ってきた精神科医斎藤環(たまき)筑波大教授は、「適切に対応すれば、ほとんどの家庭内暴力は解決が可能だ」と言います。具体的な対応方法を聞きました。


否定的な言動への反発としての「暴力」

――ひきこもりのうち、家庭内暴力はどのぐらいあるのでしょうか。
 私の統計では、10%弱のケースに慢性的な暴力が伴い、50%程度に一過性の暴力が伴う。暴力と引きこもりは、親和性が高いと言わざるを得ない状況があります。ただ、それは外向きの攻撃性ではなく、内向きの攻撃性です。家で暴れているからといって通り魔になることはありません。
 ひきこもり家庭内暴力は少なくないが、犯罪率は低い。ここでの犯罪は、起訴されて成立した犯罪を指します。ただ、DVが起きやすい環境になりやすいのは事実です。それはよく知って頂く必要があります。

――家庭内暴力に結びつく背景に何があるのでしょうか。
 一般的には、家族が本人を責めることです。本人の人格を否定したり、怠け者扱いをしたり、「早く仕事をしろ」などと追い詰められると、それに対する反発として暴力が起こる、という構図があります。皮肉や嫌みを慢性的に言われたり、否定的な言動で苦しめられたりしている当事者は多いです。私が今までしてきた仕事の半分ぐらいは、家族に、本人に対する批判や否定をやめてもらうことでした。

――やめるだけで、変わりますか?
 かなりの割合で、親からの暴言や批判に反応して起こる暴力があり、これはやめれば暴力が終わります。やめて、本人の話をちゃんと聞く、と切り替えれば終わる暴力がいっぱいある。まずは親御さんが自分の胸に手を当てて、本人を追い詰めていないか、振り返って頂きたい。
 本人は、親が自分をコントロールしようとしていることに非常に敏感で、怒りを感じます。枕元にアルバイト雑誌などを置いておき、「これを見て奮起しなさい」といったやり方はほとんど嫌がらせです。見てほしいものがあったら直接渡して「読んでくれるとうれしい」と言うぐらいの感じでやってほしい。
 一方、刺激しなくても起こる暴力があります。「慢性型の暴力」です。家族は特に何もしていないけれど、本人がささいなことに言いがかりや難癖をつけて、暴れ出す。例えば「ご飯がまずい」とか「タオルを交換していなかった」とか。これは比較的やっかいです。家族は何をどうしたらいいか、わからないからです。
 長らく密室的な親子関係が続いていると、本人が自分のこれまでの人生に対してすごく否定的な思いを抱いている。「自分の人生は価値がない」「自分は生きている意味がない」「惨めだ」。その思いを、自分1人では引き受けられない。「こうなったのは自分のせいだけじゃない」「親の育て方がまずかったんだ」。様々な思いが渦巻いていて、他責的になりやすい。他責的になってしまうと、親にぶつけずにいられなくなってしまうことがあります。これが慢性的な暴力の根源にあります。


「怒り」ではなく「悲しみ」
 これは「怒り」というよりも「悲しみ」なんです。決して暴力を振るってすっきりするわけではなく、振るった自分を責めているんです。それでも、やはり暴力を振るわずにはいられないつらさ、悲しみがある。暴力を振るってもつらいが、振るわなくてもつらい、という悪循環です。
 さらに暴れる理由には、親に「自分の苦しさを味わえ」「共感せよ」と言っている意味もあります。受け入れがたい無理難題を言ってきたり、「聞かなかったら暴れるぞ」と言ったりして、実際に暴れる。親の服を全部水浸しにしたり、ハサミで切り刻んだり、部屋に何かをばらまいたり、といった嫌がらせもあります。それは「自分のつらさを知れ」「なぜ自分はこんなにつらい思いをしているのに、お前らはのうのうと日常生活を送っていられるんだ」という主張でもある。
 明確に意識しているというよりは、そうせずにはいられない。半ば衝動的にやっている感じに近い。根源にあるのは、怒りや攻撃性というよりは、悲しみであり、その悲しみを分かってほしいという思いだということは踏まえておいて頂きたいです。


暴力を受け入れてはいけない

――具体的には何から始めればいいでしょうか?
 まずは本人の言葉、訴え、恨みつらみをちゃんと聞いてほしい。しっかりと。聞くだけで一切反論しない。弁解しない。ひたすら聞く、という姿勢でやって頂きたい。これは、難しいです。親御さんも、責められれば、つい自己弁護してしまいます。でも、ちゃんと聞くと収まるんです。遮ったり、反論したりすると、ずっと終わらない。「毎晩、恨みつらみをぶつけられて困る」という相談もありますが、それはちゃんと一回全部、言葉を受けとめるという作業をやってないからです。
 ただ、日本語の「聞く」には、「耳を傾ける」という意味と、「言いなりになる」という二つの意味があります。すごく混同されやすい。私が言っているのは、あくまでも「耳は貸すけど、手は貸さない」ということ。つまり「要求はのまなくていい」ということです。「100万よこせ」などと慰謝料を求める人がいますが、「それは出来ません」とはっきり断ってください。「出来ない理由は?」と聞かれたら、「それは、したくないから」と答えてください。それで十分です。
 一番やってはいけないのは、「暴力を受け入れること」です。かつて、カウンセラーや支援者の中で、全てを受け入れる「全受容」ブームというのがあった。「暴力は愛を持って受けとめましょう」という考え方ですが、これは間違っています。根拠もありません。結果として、ほんの一握りの人でうまくいったケースがあり、すべて受け入れたら、本人が反省し暴力をやめてくれた、という実例があるようです。ただ、それよりもはるかに多い割合で、受け入れた結果、トラウマになり、文字通り心身ともに傷だらけになって、耐えられなくなって、子殺ししてしまう、というケースがありました。


暴力を振るわなくてすむ状況を作る
 私の考えは、引きこもりやその苦しさに関しては、受容が基本です。ただし、すべての人は暴力を受けない権利がある。なぜか親子関係になると、このルールが適用されなくなるという不思議な現象が起こっています。子からの暴力に対しても、毅然(きぜん)として拒否をしてください。

――「暴力を封じたら、別のところで暴発する」という心配はないでしょうか。
 それはないと断言できます。暴力はエネルギー保存則が適用できるものではない。むしろ暴力を振るわない状況にするほうが、早く安定します。暴力を振るわなくてすむ状況を作ってください。

――どうすればいいですか?
 第一は、拒否です。「簡単じゃないか」と言われるかもしれませんが、これが一番難しい。なぜか。両親、特に母親には、非常に強い罪悪感があるからです。「うちの子がこんなに苦しんでいるのは、私のせいだ」「私は罰せられるべき人間だ」という思いがあり、つい暴力に身をさらしてしまうのです。「自分に対する罰だから、受けなくてはいけない」と無意識に思って断れない、ということがしばしば起こります。
 しかし、それは非常に不健全な関係です。もっと普通の関係を作り直してください。暴力は受けなくていい関係です。
 暴力には一瞬の爽快感があるのも、また問題です。一瞬の爽快感がある行為は、中毒になりやすい。殴ってしまうと、ちょっと気持ちが軽くなる。もちろん、その後反省するのですが、このはかない爽快感を求めて暴力がエスカレートしていく。
 拒否が難しい、もう一つの理由に、日本の親子関係では「拒否」はほとんど使われず、「禁止」が使われることがあります。「暴力を拒否してください」というと、ほとんどの親は子どもに「暴力はダメですよ」と言ってしまう。
 しかし、「ダメ」と言うのは上から目線で、本人を刺激します。また「ダメ」は、しばしば誘惑の言葉になってしまうという点からも間違っています。「暴力一般が良くない」ということではなく、「私は暴力を振るわれたくありません」という拒否が必要です。しかし親の立場では、なかなかそれが言えない。親は子どもに一般論と常識を教え込む立場だという変な前提があるために、「してほしくないこと」も全部「禁止」の形になってしまう。しかし、禁止は通用しません。「禁止ではなく拒否」が必要です。
 ただ、親は罪悪感などから、拒否しきれない。では、どうするか。暴力が続く場合は、覚悟を決め、通報か避難、いずれかを考えて頂きたい。別の言い方をすると、外部の視点を入れる、ということです。密室を壊して、外部の視点を入れてください。兄弟の婚約者が家で同居し始めたら、ぴたりと暴力が収まった、というケースがありました。第三者の目の前では起こらないのがDVであり家庭内暴力です。他人が家に入ってくると、暴力は激減します。それを応用してみてください。


通報や避難の前に、予告する

――通報や避難の手順は?
 通報や避難をする際は、いきなりではなく、予告段階を設けてください。「今度やっちゃったら、通報しますよ」「避難しますよ」と予告しておく。これで止まるケースもたくさんあります。その瞬間は怒っても、手は出て来ない。本人は、「親がそこまで嫌がっているとは思わなかった」とびっくりします。逆に言うと、それまできちんと拒否されてこなかった人が多いということです。拒否のメッセージとして、まずは通報・避難の予告をしてください。
 それでもおさまらないケースが一定数あります。そのときは、実際に実行してください。非常に激しい器物損壊やケガをするような暴力があるときは、通報です。誤解が多いですが、逮捕が目的ではありません。通常の家庭内暴力は、通報したと知るとぴたりと止まり、警察官が現場に駆けつけた頃には、収まっています。大事なことは、暴れると他人が家に上がり込んでくるという事実を知ってもらうことなんです。

――逮捕されてしまう心配はありませんか?
 地元警察に、前もって相談しておくといいでしょう。根回ししておき、通報したらちょっと来てもらえるようお願いしておく。逮捕や入院は避けたい、とも伝えておいたほうがいい。とっさの判断で、警察から「入院しかない」と言われてしまうと、悲劇にしかなりません。
 通報ではなく、例えば警備会社と契約して、ボタンを押せば来てくれるサービスを活用してもいいです。
 モノを壊したときは、自分で直さずに、必ず業者を呼び、跡形もなく直してください。一部に、見せしめ目的で、壊した所をそのままにする人がいます。これは逆に、次の破壊を誘発します。いわゆる「破れ窓」理論です。家がボロボロになると、敷居が下がって、暴れやすくなる。必ず、毎回、直後に業者を呼んで、キレイに修復してもらうだけでも、かなり抑止効果が上がります。
 専門家以外にも介入できる人はいっぱいいます。警備員、業者など、どんどん家に入ってきてもらうことを考えてください。
 ファイナンシャルプランナー(FP)を活用して、暴力が収まったケースもあります。FPを家に呼び、資産状況や収入などをエクセルにまとめてもらって子どもと共有した。その過程で、いつまで養えるか、介護はどうするのかといったライフプランから相続まで、すごく切実なお金の問題を、本人も参加して話すうちに、暴力が止まったといいます。通報や避難をためらう方は、まずFPを試みてみるというのもいいと思います。多くの親は、子どもに金の話をしたがらないですが、やってみると意外と真面目に聞いてくれ、資産状況などが分かってくると、暴力よりも別の方向で考えていこう、と流れが変わることもある。いきなり「病院に行きましょう」と言う提案よりは、聞いてくれる可能性が高いと思います。


「あなたが嫌」なのではない

――避難の注意点は?
 避難では、何カ月も続けたり、結局別居したりしてしまう人がいますが、これは逆効果でしかない。私が言う避難は、家に早く帰るための避難です。くれぐれも長期化しすぎないように考えてください。ポイントは、予告したら必ずその日のうちに避難すること。暴れている最中は、追いかけてくるので、逃げられません。暴れまくって、一段落したら、避難する。できれば、タクシーなどを呼んで避難すると、他人がいるので、追いかけてきません。そのために、あらかじめ避難の準備と避難先の確保が必要です。実家や短期賃貸マンションでも構いません。とにかく家ではない別の場所に行く、というパフォーマンスが大事です。
 避難したら、すぐ避難先から電話してください。何をしゃべるか。「暴力が嫌だから逃げたけれど、あなたが嫌だから逃げたわけじゃない」と、必ず伝えてください。言わないと、本人は「とうとう親から捨てられた」と思い込んで、自暴自棄になって自傷行為をしたり、また何かを損壊したりする恐れがあります。それを防ぐために「見捨てたわけではないんだ」というメッセージをしっかり伝えて頂きたいと思います。
 電話すると、本人は謝ってくると思います。直後はすごく反省している。泣かんばかりに謝って、「もう絶対にしないから、帰ってきてほしい」などと言われると思います。これで、ほだされて帰ってしまうと、2、3日はおとなしくても、すぐに戻ってしまいます。反省をしっかりと刻むためには、時間が必要です。私の基準では、1、2週間。そのぐらいで、かなり定着します。逆に、長すぎるのも問題です。1、2カ月もすると、恨みがぶり返してきて、また暴れ出す可能性が高いからです。

――その後は?
 電話は毎日いれて下さい。だんだん落ち着いてきたころに一時帰宅をする。これもパフォーマンスです。「あなたが本当に暴力を振るわないか確かめに来ました」と、わざとやるわけです。1泊で構いません。そこで暴れる人は、まずいない。一時帰宅を繰り返し、おとなしくなれば「もう暴力が起こらないと分かったので、帰りますよ」と言って、ちゃんと帰る。そのように順番に進めていけば、大概の暴力は収めることができます。


入院を検討するのは最後
 私はすべての現場で、この方針でやっており、ほとんどの暴力は沈静化します。理屈は非常に簡単です。手順もそれほど難しくない。通報や避難を思い切って踏み切るのが一番難しいかもしれません。でも、何年も暴力に苦しんで、双方がボロボロに傷つくよりは、早い段階で思い切ってやるほうが、本人も暴力を諦められる。「うちでは暴力は振るえない」と諦めることが、安定につながります。振るわせないのではなく、振るわなくて済む環境を作る、ということです。本人は暴力を振るえなくなって、ホッとする部分もある。これは薬物中毒の人が、逮捕されてホッとするのと似ています。好きでやっているわけじゃないのです。嫌でしょうがなく、やめる口実が欲しい。それを与えるための拒否なんです。
 これらがすべて失敗したときに、はじめて入院などが検討課題になります。ただ、同意がない入院では、状況は全く改善しません。病院や施設に入れた場合、本人にはトラウマが残り、帰ってくると親子間の断絶は前よりも激しくなります。断絶ですめばいいが、報復の恐れもあるため、本当に慎重にする必要があります。
 どうしても入院する場合は、退院後の居場所を考えておいて下さい。入院を機会に、単身生活をさせることなども検討する。親がお金を出すので、生活についていろいろ条件をつけても構いません。そうした治療契約を入院時にしっかり結べればいいですが、漫然と安易に入院させるのは、後々禍根を残すことになりかねず、くれぐれも気をつけて下さい。

――元農水事務次官の事件では、行政を熟知しているはずの容疑者が、なぜ支援につながらなかったのでしょうか。
 しっかり毅然(きぜん)としてやっていれば、暴力は抑えられたと私は確信しています。専門家に相談すると、「それは入院ですね」「通報したらどうですか」といったアドバイスは受けるかもしれません。ただ、それだけでは具体的な方法が分からない。記事などでも、「1人で抱え込まずに、専門家へ」というアドバイスで終わることが多いですが、全く具体性がない。雑な逮捕や避難は、逆効果の場合もある。私は自分の経験に基づいてやり方を洗練してきましたが、どう避難するか、どう通報にもっていくかを具体的に考えなければいけません。
 もし、相談できる専門家がいなくても、こうした方法論でなんとか対処できると思います。暴力を拒否するのは自然なこと。つらいから避難するのも、ひどい暴力を受けたから通報するのも、常識的な話です。まずは常識にのっとって対応してみて下さい。


ゆっくりしたペースで
 また本人に対して急に詰めるのではなく、ゆっくりとしたペースでやって頂きたい。例えば、病院などに相談に行く場合、最初は本人は行きたがらないので、相談に行くのは親だけです。そのときは、月1回ぐらいのペースで通いながら、その都度、本人を誘う、という感じで進めてください。毎回説得したり議論したりするのではなく、まずは親が通ってみせる。通ってみせながら、一声かけると、という感じです。
 暴力に悩んでいる家族は、まず家族会につながってほしい。家族会で情報を得たり、支援機関を知ったり、対応方法を学べたりできます。
 私の方法論は、夫婦間の暴力、DV臨床の方法論が根拠です。夫婦間暴力で培われてきた通報・避難という手法を、子ども向けに洗練していった。この方法で20年以上暴力と向き合ってきました。自分の経験でしかないが、この方法でほとんどの暴力は収まっている実感がある。試してみる価値はあるんじゃないでしょうか。

――高齢となった親にもできるでしょうか。
 もう70、80歳の親が「毅然(きぜん)と拒否」なんて言われても、難しいのは分かります。なかなか出来ない。世間を気にして通報もできず、どこかに逃げろと言っても、行き場所もない、ということもある。「実行が難しい」と言われるのは、よく分かります。
 親が高齢の場合は、もし暴力でケガをしたら、大騒ぎをして、救急車を呼んで、入院してください。効果はてきめんです。入院治療を1カ月ほど受けて、帰宅すると、ほとんどの暴力はおさまっています。「子どものために辛抱して、ケガをおして、家事をする」というのは、やめてください。ケガをしたら、大騒ぎして、入院する。これは、高齢の方でも出来るはずです。本人は間違いなく罪悪感を感じている。暴力を振るいたくないんです。ただ、その罪悪感が固定しないので、固定する経験をさせるために、離れることが必要なんです。入院というのは、最高の口実です。入院するフリでもいいんです。

(聞き手・中村靖三郎)