細胞の時間 「闇に降りて光を歌う」

人が年を重ねることで二つのことが起こります。年齢とともに今までできていたことができなくなる。あらゆるレベルの身体機能は劣化していきます。視力は衰え、脚力は弱り、聴力は遠のき、しわは増え、髪の毛は変色します。秩序立っていたものが無秩序に向かう。エントロピー増大の法則です。これをくい止める方途はありません。

しかし、これは生命の一つの法則です。肝心なことはもう一つの特徴です。

それは年をとることで、今まで見えていなかったことが見え始めるということです。今まで分からなかったことが分かり始めることです。

私は今年で81歳になりますが、今まで全く見えていなかった風景がありありと見えるようになっている経験をしています。

4月13日のシャンソン・エネルギーコンサートでは、6曲の歌を原語で歌い、そこに見えてきた闇と光の物語を皆さんとシェアします。これは私にとっては鮮烈に新しい、しかし、懐かしい認知風景です。

私達の結婚記念日1963年に作詞作曲されたアダモの「ブルージーンズと皮ジャン」、「夜のメロディー」、その後の「インシャラー」は、81歳の今になってその歌詞に入ってみますと、何と、何と、そこに燦然と見えてくる闇と光の構図は、NJK! 驚きと発見と感動の極みです。全然色あせていない❗️パダン・パダンなどに代表されるエディト・ピアフの歌に入っていきますと、これまた、びっくり仰天。そこに見えてきた漆黒の闇の構図は、計り知れなく破壊的で致命的な桎梏の物語です。「愛の賛歌」にしても、それ殆どが仮定法の時制で書かれており、願望と仮説の物語です。その中で、1968年に二人の音楽プロデューサーが作詞作曲し、これをルイ・アームストロングが自分の持ち歌としました「What A Wonderful World。」当時はベトナム戦争が熾烈を極める無駄と浪費の泥沼にありました。反戦運動は計り知れなく繰り広げられていた中で、効を奏するものは殆ど皆無。その最中で、この歌が果たした役割はこれまた計り知れない。「目に見えないものを見る」この歌のパワーは、ベトナム戦争の愚行に終止符をうつ目に見えない役割を果たしたに違いないと私は思います。

新しい「令和」の時代に、どんな風景を見るのか、今まで見えていなかったものやことを、いかにして見える領域に、認知できる領域に持ち込むのか。

81歳の齢をいただいている私に、今になってやっと見えてきた風景を、4月13日には仲間とシェアし、大いなる祝福と恩寵で当日の会場が満たされることを心の底から祈念して、コンサートホール、サロンドメルシに臨みます。めちゃ楽しみです!

岩田静治
行動科学研究所